循環のチカラ
温度のムラは、平らにならして
暖かい空気は上へ上へと昇っていくので、足元はいつまでたっても寒いまま。ひざ掛けくらいでは太刀打ちできません。住宅なら、吹抜けがあるような大空間ほど冬の寒さが身にしみます
建物上方にたまった暖かい空気を回収して、1階の床下から吹き出させることで建物全体の温度差を解消。家のなか全体でサーキュレーターを回しているようなものです
もし、あなたの職場が
「オフィス」と呼ばれるような事務作業中心の
室内空間だとしたら、かつて社内でエアコンの
温度設定をめぐり、激しい抗争が繰り広げられた
歴史があるのではないでしょうか(もしかすると、
いまだにモメているかもしれません)。
頭のほうはボーっとするほど暑いのに、
足元は突き刺さるような冷気が漂っている
(冬の場合)。
外回りの男性社員は暑がっているのに、
社内にずっといる女性社員は寒がっている
(夏の場合)。
……揉めごとの原因を生みだしているのは、
すべて「室内の温度差」です。
サーキュレーターの大型版
冬季に暖房器具を使って部屋を暖めると、
そこがオフィスであれ、住宅であれ、
暖かい空気は必ず室内の上方にたまります。
逆に足元は、
降りてきた冷たい空気が脚を芯から冷やします。
これでは、エアコンの設定温度をいくら変えても、
室内全体はいつまでも快適になりません。
そこで「エアコンのいらない家」は、
建物全体に専用の集熱ダクトとファンを組み込み、
建物上部(2階のてっぺん)にたまる暖かい空気を
ダクト内のファンを回して1階床下まで降ろす
機構を採用しています。
床下に降ろした暖気は、
1階床の吹出口から吹き出します。
言うなれば、
現在多くのオフィスで大活躍している
サーキュレーターの大型版。
ファンの回転音は極小ですから、
耳障りな音がするという心配もありません。
暖かい空気と冷たい空気を循環させ、
建物内に暑い寒いの凸凹がなくなれば、
室内の過ごしやすさは劇的に改善されます。
それに、
空気が常に回っているので、
湿気が滞留して結露ができる……なんてことも
ありません。
ささやかな仕掛けですが、
この効果、意外とあなどれないのです。
床に設けている暖気の吹出口。建物頂部に滞留する暖気を、集熱ダクトとファンを使って床下まで降ろします。吹出口のカバーは取り外し可能なので、ほこりが気になる方はこまめに清掃していただけます。残念ながら床暖房ほどの発熱はありませんので、床面からダイレクトに暖かさを得たい方には、追加で床暖房の設置をおすすめしています