1階部分にLDKを中心としたパブリックスペースを配置する間取りです。
延床面積40坪(約132㎡)は都市部では広めの面積といえるでしょう。
暮らしのイメージ
01
イージーオーダーでつくる。
洋服の仕立て方には、いくつかの種類があります。
その究極は、何から何まで一からつくり上げる「フルオーダー」ですが、もう少し気楽につくる方法として、元々あるパターン(型紙)をお客様の体型に合わせ、寸法などを調整していく「イージーオーダー」というつくり方もあります(フルオーダーもイージーオーダーも和製英語。イージーオーダーは正しくはメイドトゥメジャー[Made to Measure]といいます)。
「エアコンのいらない家」は、このイージーオーダーに似た方法で設計を進めていく家です。というのも……
① 自然のチカラを最も効率よく活かせる住まい
② 毎日が暮らしやすく、楽しく美しく過ごせる住まい
この2つを両立させようとすると、敷地の環境はどうあれ、どの家もおおむね似たような間取り(パターン)に落ち着いてしまうからです。
もちろん、縦に長い敷地、台形の敷地、変形した敷地……、敷地のかたちで間取りはガラッと変わります。「キッチンをもっと広く」とか、「収納スペースを増やして」といった要望に応えることも可能です。けれど、基本的な構成要素、間取りのルールは変わりません。
「もっと違ったアプローチも考えられるのではないか?」
これまで、さまざまな試行錯誤を繰り返してきましたが、結局はいつも同じ場所に落ち着きました。考えてみれば、日差しの取り込み方、風の抜き方はどの家も共通なのですから、間取りが似てしまうのも当然といえば当然です。
それを分かりやすく示したのが、上図「きほんの間取り」です。
「きほん」と銘打ってはいるものの、見方を変えれば、ああでもないこうでもないと試行錯誤を繰り返した『究極の間取り』といえるかもしれません。
フルオーダー
=すべてイチからつくります
イージーオーダー
=最適なパターン(型紙)を
組み合わせます
パターンオーダー
=既製品を微調整するだけです
02
標準仕様と選ぶよろこび。
完全自由設計
=無限にある選択肢が逆にストレスを与えがち
イージーオーダー設計
=厳選されたものの中から好みのものをチョイス
「きほん」を決めているのは、間取りだけではありません。
たとえば以下のものも、あらかじめ標準仕様を設定しています。
・使用する建築材料 →信頼できる製品を数種類程度に厳選
・内外装のカラー →3~5種類前後に絞り込み
・システムキッチン →タカラスタンダード社製で統一
間取りのルール以外にもいくつかの仕様を決めているのは、ひとえに「選択するよろこび」を手放さないためです。
完全自由設計を謳うフルオーダーの注文住宅は、何から何まで自分で選び、つくり込んでいく面白さがあります。しかしその反面、何から何まで自分で決めなければならない『苦しさ』もあります。
壁紙一つとっても、やろうと思えば何百種類のなかから選びだすことが可能です。分厚いカタログをバッと広げて、「お客様はどれがお好みですか?」と伺うことも出来るでしょう。でも、そのような選択、選択、選択が続いていけば……。楽しさはいつしか苦しさに変わるはず。
それよりも、家づくりのプロたちが、長年の経験から自信をもってオススメできるものを厳選し、お客様には最後の最後でお好みのものを選んでいただく。そのほうがきっと、選ぶよろこびを味わえることでしょう。
あらかじめ「決まっている部分」と、「自分で決める部分」のバランスを保つ。これもまた、イージーオーダーの仕立て方に似た、家づくりの手法といえます。
03
日常の風景こそ美しく。
「きほんの間取り」(暮らしのイメージ)をご覧いただくとお分かりのように、そこにはモノの置き場所、家事の流れ、日常の作業イメージなど、間取り以外のことまで細かく書き込んであります。
それらはすべて、毎日を美しく、快適に過ごしていくためのヒント。
熱や空気のデザインのみならず、日常生活を美しくデザインすることも、「エアコンのいらない家」が大切にしている家づくりの「きほん」にほかなりません。
ふつうの人が、ふつうの暮らしを営んでいけば、
・日々たくさんのゴミが出るでしょう
・畳んでいない洗濯物の山が放置される日もあるでしょう
・洗うのが面倒な鍋や皿が溜まることだってあるでしょう
たくさんの「美しくない光景」が、竣工直後の美しかった室内を次々と侵食していきます。
でもそれは、住まいとして当たり前の光景。だからこそ、恒常的に生みだされる「美しくないシーン」を、少しでも「美しい光景」に変えられるような工夫が、家づくりの計画段階で求められてくるのです。
片づけが追いつかず、そこらじゅうにモノがあふれそうな日でも、設計の時点であらかじめ「片づけやすい仕掛け」さえ施しておけば、住まいはある程度こざっぱりとした空間のままでいられます。
一般的に想定される「モノの置き場所」まで細かく書き込んであるのは、そうした配慮を重視している設計側の決意表明でもあります。
日差しの入れ方や風の通し方と同じように、「人間の効率的な移動ルート」「整理整頓がしやすい工夫」なども、「エアコンのいらない家」のパターン(型紙)にしっかり刻印されているのです。
毎日出るゴミを美しく機能的に分別
洗濯物を洗い、干し、取り込み、畳むまでの流れを美しく機能的に
&
そして、お楽しみはここからです。
以上3つの観点から、エアコンのいらない家が採用しているイージーオーダー設計の特徴をお話しさせていただきました。
ただ、これらはすべて、家づくりの「初期設定」に過ぎません。
環境的に快適な家であること。
機能的に優れた家であること。
たしかにそれは、住宅にとって大切な評価軸の一つです。
けれど、家づくりとはそれだけで完結するものではないでしょう。
理屈では語れない個人的嗜好・こだわりを加味することで、あなたの家はどの家とも違う、かけがえのないわが家に育っていくはずです。
ある人にとってそのこだわりは、「インテリアの美しさ」かもしれません。またある人にとっては、「リビングから眺める日没のひととき」かもしれません。
もちろん、何もかも実現できるとは限りませんが、各家庭のこだわりを大切にしつつ、「あなただけのエアコンのいらない家」ができるよう、総合的な観点でプランのご提案をさせていただきます。