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風が通り抜けるということ|エアコンのいらない家
report012

02

屋根の勾配を逆にしたり

庭の植栽と天窓
廊下で遊ぶ子どもたち
日差しを取り込みやすくした屋根の勾配
八巻さん

――

最初の図面の段階でエアコンの有無は?

 

八巻

エアコンは付けるつもりでした。

というか、エアコンを付けるとか付けないとか、そんなのは検討事項にものぼらなかったというか、考えもしなかったというのが正直なところです。

こだわっていたのはむしろ舘野さんのほうで、彼が設備面の提案をいろいろしてくれたんです。

 

――

ということは、「エアコンがいらない」のキーマンは舘野さんですね。

 

八巻

そうですね。

彼に連れられて、のちにこの家の施工をしてくれる長野の工務店まで行って、冷暖房の設備を見せてもらったりもしました。

そのなかにあったのが……(同席されていた舘野さんに)あれ、なんて言ったっけ?

 

舘野

OMソーラー。

 

八巻

そう、OMソーラーです。

そのときまで、OMソーラーというシステムがあること自体知らなかったのですが、話を聞いてみると、そういうシステムを自宅に組み込むのも面白いかなと興味が湧いてきて……

ただ、コストが割高になるのでどうしようかと思案していたら、今度は矢継ぎ早に、山田さんのアイデアを紹介してくれたんです。

エアコンを使わなくても快適に過ごせる家のつくり方があるよって。

 

――

ここで山田さんとつながるわけですね。

 

八巻

ええ、

舘野さんと山田さんが昔からのお知り合いだったみたいで。

 

――

(舘野さんに)

山田さんとは昔からいろいろなお仕事をされていたのですか?

 

舘野

いや、仕事でご一緒したのは八巻さんの家が初めてです。

以前からの知り合いとはいえ、実際に仕事をする機会はなかなかなかったものですから。

 

山田

私のほうから補足させてもらうと、舘野さんからお話をいただいたとき、図面はもうほとんど出来上がっていた状態でした。

しかし、その図面のまま進めていくと「エアコンのいらない家」としては中途半端なものにならざるを得ないと分かったんです。

なので、いったん引き返して、もう一度建物の形状からやり直させていただきました。

 

八巻

ああ、そうでした。

いまもリビングの棚にわが家の模型が飾ってありますが、その模型の屋根の勾配と実際の屋根の勾配はまったく逆になっています。

山田さんのアドバイスで、冬の日差しを最大限取り込めるようにと逆向きに変更したんです。

そういう大胆な変更をいくつも加えながら、最終的にベストの形に近づけていったという感じですね。

 

――

「エアコンがいらない」という特徴は設計が相当進むまで、この家のテーマにはなっていなかったわけですね。

 

八巻

まあ、夏でも涼しい家になるといいな、くらいの話はしていましたけど。

 

――

メインではなかったと。

 

八巻

そうです。

やはり舘野さんのほうから、いろいろなアイデアを出してもらったのが大きかったです。

 

(つづく)

 

 

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