練馬Y邸オープンハウス中継
暑い寒いのかたよりをなくす
山田
冬に活躍する道具は、断熱ブラインドだけではありません。
窓際の床を見てもらうと、ここに細長いスリットがあるのが分かるかと思います。
これも、冬の寒さをやわらげる工夫の一つです。
これは「サーキュレーターファン」という集熱ファンの吹き出し口で、ここから室内の暖かい空気が吹き出してきます。
――
そのスリットの下に、エアコンみたいなものが入っているのですか?
山田
いえいえ、エアコンは入っていません。
「暖かい空気が吹き出す」と言いましたが、ここから出てくるのは家の中でいちばん高い場所にたまっている暖かい空気だけです。
皆さんご存じのように、熱は低い場所から高い場所に移動する性質がありますから、この家であれば2階の部屋の天井付近が最も暖かい場所になります。そこにたまる空気を専用のファンを回して回収し、1階の床下まで下ろしてきます。それが吹き出る先が、このスリットの孔なんです。
要は、家じゅうの空気を上から下にかき回しているだけです。でもそのおかげで、家のなかにある温度差がなくなります。
「なーんだ、それだけか」と思われるかもしれませんが、暖かい空気が冷たい空気の固まっている場所に移動して、室温のかたよりがなくなると、わずか1~2℃の差でも身体に感じる温度は相当変わります。
ちょっと、床下のダクトをのぞいてみましょうか。
ファンの吹き出し口
これがダクトです。
ここはキッチンの床下ですが、中をのぞくと太いダクトが通っているのが分かりますね。このダクトが2階まで延びていて、2階の暖かい空気を回収してきます。で、床下を通って先ほどのスリットから出てくる。
――
まわりの白いモコモコは何ですか?
山田
これは断熱材です。
断熱材にはいろいろな種類がありますが、これは「現場発泡タイプ」の断熱材で、もともと液体の状態のものを断熱したい場所に吹き付けると、泡のような状態でカチカチに固まります。
せっかく暖かい空気を回収してきても、その空気が床下を通る間に冷やされたら、最終的に冷たい空気しか出てこなくなりますよね?
そうならないようにするために、床下の基礎部分の断熱をしっかりしているわけです。
じつは、住宅内の空気を循環させるシステムというのは、昔から多くの住宅で採用されている「古いシステム」です。人によっては、「まだそんな古くさいシステムを使っているの?」と言われてしまいそうですが、昔ながらのシステムでもその性能を十二分に発揮させてやれば、いまでも十分使えます。
逆に、中途半端にやるとまったく使えません。
昔は、このシステムを採用した住宅で、基礎の断熱がしっかりされていなかったせいで、「いつまで経っても冷たい空気しか出てこない」というクレームがよくありました。
だから、基礎の断熱はとても大事なんです。
集熱ファンの操作盤は、これになります。
左側の「集熱ファン」と書いてあるほうのスイッチで操作します。
温度設定ができるようになっていて、たとえばいまは、空気の吸い込み口近辺の温度が20℃を上回るとファンが自動的に回り始めるようにしています。
スイッチさえ入れておけば、あとは自動でやってくれるので、何も考えなくて大丈夫です。
集熱ファンの操作盤