変則屋根は最適化のしるし

石川県金沢市に建つ戸建住宅です。

お施主さんからのご要望は、以下のとおりでした。

「金沢は冬の日照時間が短いため室内が暗くなりがちです。日中でも照明を点けている家がたくさんあるので、新しくつくる家は出来るだけ明るい家にしてほしいです」

冬の日差しを効率よく取り入れ、かつ夏の日射による熱負荷を軽減させるため、意匠設計者、構造設計者、設備設計者の3者で住まいのかたちを徹底的に探求しました。

 

さまざまな試行錯誤の末にたどり着いたのは、南に大きく開いた、一風変わった変則的屋根形状でした。

南面に大きな開口部を設けつつ、適切な長さに軒を出したことで、冬季の日射取得と夏季の日射遮蔽の両立に成功。

また、屋根面に設けた2つのハイサイドライトを真南に向けることで、年間を通して時々刻々と変化する日射に対し、取得と遮蔽の最適化を図りました。

 

ちなみに、太陽高度が最も高い夏至の日を基準に諸々の設計を進めると、夏至の日よりも気温が上がる7月から8月にかけての日射遮蔽が逆に難しくなります。

そこで、例年、金沢市の最高気温が30℃以上になる8月24日頃までの日射を完全遮蔽できるよう、開口部のサイズと軒の出を割り出しました。

結果、この家の2階は薄曇りの日でも照明が不要となり照明負荷の削減に成功。

冬季は室内上部にたまった暖気をダクトファンにより1階床下まで循環。空調負荷の低減を実現しました。

夏季はポーチ下に設けた開口部から涼風を取り込み、室内上部から排気することで自然通風による熱気の排出が促されます。(山田)

 

 

■建物概要

家族構成:夫婦

協働設計:ナカエ・アーキテクツ(中永勇司)、ymo(山田浩幸)、オーノJAPAN(大野博史)

施工:加賀建設

敷地面積:243.52㎡(74坪)

建築面積:121.75㎡(37坪)

延床面積:167.72㎡(51坪)

構造:木造

写真協力:ナカエ・アーキテクツ

 

■雑誌掲載

CasaBRUTUS「最強の家づくり究極の参考書―都市型住宅に住む」

CasaBRUTUS  No.143 2012年2月号

新建築住宅特集 2014年10月号

GA Japan111