風の通り道とバタフライ屋根

敷地南側に立派な竹林があったため、夏はその竹林を経由する涼しい風を建物内部まで導いてやることが、設計時の大きなテーマになりました。

建物南側に設けた大きな開口部が「風の入口」になります。

建物内の各室を仕切る建具はすべて引戸。夏はそれらを開け放てば「風の道」が最後まで途切れずに、北側上部に設けた窓(風の出口)までスムーズに抜けていきます。
南側開口部には木製のルーバーを設置しましたので、風の取り込みだけでなくプライバシーの確保も両立しています。

南側のバルコニー下には「ミスト散水装置」を設置。夏はミスト散水を行うと、半地下に埋め込んだ個室(寝室)の窓外から、気化熱の効果によって冷やされた空気が入ってきます。その涼風は寝室から吹抜けを介し、上階まで吹き上がっていきます。

なお、風の「排出口」となる北側の窓は、建物のできるだけ高い位置に設けたかったため、屋根は南側にも北側にも大きく開く「バタフライ形状」を採用しました。

これが、この家のデザインを決定づけました。

 

大きく開いた南側の開口部は、夏の涼風だけでなく冬の日差しもたくさん取り込んでくれます。取り込んだ太陽の熱は、断熱性の高い引戸を閉じることで、外部に少しでも熱を逃がさないようにしました。

夏は開け放しにすることが多い引戸ですが、冬は細かく閉じていくことで、小さな空間がたくさんでき、暖かさが持続するため暖房エネルギーの負荷が抑制されます。(山田)

 

 

■建物概要

家族構成:夫婦+子供1人

協働設計:アーキエア(二瓶渉)、ymo(山田浩幸)、空間工学研究所(岡村仁)

施工:THモリオカ

敷地面積:105.62㎡(32坪)

建築面積:63.14㎡(19坪)

延床面積:84.44㎡(25坪)

構造:RC造+木造

写真協力:坂下智広/アーキエア

 

■雑誌掲載

最高に心地のいい間取りをつくる本(エクスナレッジムック)

 

■受賞歴

住まいの環境デザイン・アワード2012 環境デザイン最優秀賞